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2005年ギター製作展inやさとレポート

2005年5月3日(火曜日)〜5日(木曜日)にかけて
ギター文化館(茨城県新治郡八郷町)にて2005年
ギター製作展inやさとが開催されました。

プログラムは
第二回アマチュアギター製作コンテスト
    3日:予選界、4日:本選会、5日審査結果発表、表彰式
記念コンサート
    第一部 マヌエルカーノコレクションコンサート
          演奏 リベルト・プラナス氏
              掛布雅弥氏
    第二部 鈴木巌ギターリサイタル
    第三部 対談「日本ギター史を振り返る」
         濱田滋郎先生と小原聖子先生による
ファイナルコンサート
    コンテスト入賞作品の演奏
ふれあいコンサート(一般参加によるコンサート)
フェアウェルパーティー

会場は交通の便があまり良いところにはありませんが、各日約200名の来場者があり、大変な盛況となりました。
コンテストには30名35作品が参加。予選会ではギタリストの北口功さんが全ての楽器を異なった曲で演奏をされました。先に各楽器をご覧になり最も適すると思われる楽曲を選択されたとのことです。翌日の本選会では北口功さんと掛布雅弥さんが6つのカテゴリー(たとえばトレモロ、和声など)を3パートずつで演奏し楽器に対する意見交換を行いながら進行されました。

フリー参加のふれあいコンサートには40名の演奏者がエントリー。私も参加をしてタレガのアラビア風奇想曲を演奏させていただきました。
全体での記念写真です。5月の連休はここ数年、雨が続いていましたが、今回は晴天の三日間となりました(終わったとたんに寒波が押し寄せ雨になりましたが)。写真は3日のお昼に撮影されたものです。皆さんおわかりになりますか?(写真が小さいくてすみません)
審査員の小原聖子先生とも約20年ぶりにお会いできました。濱田滋郎先生との対談「日本ギター史を振り返る」はとても興味が尽きない内容でした。限られた時間の対談でしたがもっとお話をうかがいたいと思いました。是非、第二回の対談を期待したいと思います。
この対談で感じたのは今当たり前のようにギターを弾いている私ですが日本のギター界の創成期には大変な時代があり、その時代があったからこそ今日のギター界が出来てきたのだということです。
今回のコンテストで東京のギタルラ社さんがスポンサーとして提供された音楽之友社「ギタリストの余韻」小原安正著を最近私も読ませていただきましたが、小原聖子先生のお話とかさなりとても興味深く読ませていただきました。
小原聖子先生は私の先生の伊東福雄先生の先生でありますので、私は孫弟子にあたります。小原聖子先生は当日貴重な資料をお持ちになられ皆様に公開をされ、興味深く拝見をさせていただきました。
第二回アマチュアギター製作コンテストのパリからのゲスト審査員、リベルト・プラナス先生です。メールの連絡をしておりましたが、製作展当日に初めてお会いすることができました。プラナス先生はアンダルシア地方ご出身のスペイン人でパリ市運営の弦楽器製作学校で指導をされていらっしゃいます。また、アンドレス・セゴビアにも直接師事をされて演奏家でもいらっしゃいます。
帽子がお気に入りのようでいつもかぶっておられました。明るく気さくなお人柄が印象的でした。
プラナス先生は今年、NHKのフランス語講座のテキストでも紹介をされています。奥様が日本人であることもあり日本語も少々お話をされます。日本のギター製作についてどのような印象をもたれたのでしょうか。もう少し時間があれば詳しくうかがってみたいと思いました。
第二回アマチュアギター製作コンテスト

30名35作品が参加。
審査委員長 濱田滋郎先生
審査員 リベルト・プラナス先生、桜井正毅先生、
     今井勇一先生、禰寝孝次郎先生、
     松村雅亘先生(以上ギター製作家)
     小原聖子先生、鈴木巌先生、川竹道夫先生
     (以上ギタリスト)
特別審査員 小林恒岳先生(日本画家)
     
以下は本選出場者の皆様です

金賞受賞者 上水 清さん
銀賞受賞者 丸山 利仁さん
銅賞受賞者 松井 宏夫さん
奨励賞    宇坂 利文さん
奨励賞    金文 政勝さん
奨励賞    福田 寛紀さん

特別審査員賞 丸山 利仁さん
*特別審査員日本画家、小林恒岳先生より
  作品「八郷新緑」が送られました。

また一般投票でおこなわれた観客賞は金賞受賞者の上水清さんが
受賞をされました。


協力アウラ、ギター文化館、ギタルラ社、現代ギター社、シャコンヌ、徳島ギター協会、禰寝孝次郎先生、メディアカームロッコーマン(50音順)
演奏楽器 演奏者 プロフィール 演奏曲 作曲者
松村雅亘 田口悠太郎 福岡県17才、2001年5月クラシックギターを学ぶ、2004年7月ギター文化館にてリサイタルを行う。2004年8月ステファノ・グロンドーナ マスタークラス優秀受講生 サラバンド(無伴奏バイオリンパルティータ1番より) J・S・バッハ
セビーリア アルベニス
禰寝孝次郎 木村祐 茨城県13才、7歳からギターを父、木村義輝に師事。小学2年でG.L.C学生ギターコンクール低学年の部第一位、ジュニアギターコンクール第一位、小学6年でG.L.C学生ギターコンクール高学年の部第一位。現在、中学2年生 5つのバガテルより〜Allegro,Con slancio ウォルトン
リベルト・プラナス 大沢 実 神奈川県22才、17才から石田忠氏に師事、2002年神奈川新人ギタリストオーディション主席、2003年ギター音楽大賞主席、2003年クラシカルギターコンクール3位 グラン・ソロ F・ソル(アグアド編)
今井勇一 山下俊輔 東京都20才、2001年日本ギターコンクール高校生の部銅賞。桐朋学園芸術短期大学卒業。現在、同短期大学専攻科在学中。第16回日本重奏ギターコンクール1位。松居孝行、佐藤紀雄、ステファノ・グロンドーナ、アンドレア・デュイチに師事。マスタークラスを佐々木忠、トーマス・ミュラー・ぺリング、パブロマルケスに師事 悲歌風幻想曲 F・ソル
櫻井正毅 徳永真一郎 徳島県16才、1997年よりギターを川竹道夫に師事。ニコラス・ゴルーセス、オスカーギリア、福田進一、各氏のマスタークラスを受講。2000年第22回ジュニアギターコンクール 小学高学年の部1位、,第27回日本ギターコンクール小学生の部1位、第25回GLC学生ギターコンクール小学高学年の部2位、2001年第23回ジュニアギターコンクール 最優秀賞、第26回GLC学生ギターコンクール 中学生の部1位、第28回日本ギターコンクール 中学生の部1位、2002年第8回徳島県芸術文化奨励賞受賞、第27回GLC学生ギターコンクールGLC賞、2003年第30回日本ギターコンクール オヌール部門1位、2003年第21回スペインギター音楽コンクール1位、徳島県立城東高校2年在学中 大聖堂 A・バリオス
野辺正二 森 湧平 福島県13才、8才よりギターを渡辺隆氏に師事。2004年度ジュニアギターコンクール中学生の部三位、第23回ギタリスタス”あだたら”ギター演奏会出演。福島県本宮町立本宮第一中学校二年在学 椿姫の主題による変奏曲 J・アルカス(タレガ編曲)
5日ファイナルコンサート

最終日のファイナルコンサートではアマチュアギター製作コンテスト上位3名の入賞作品がプロギタリストにより披露されました。

金賞受賞 上水 清さん作品    ギタリスト:鈴木巌氏により演奏
銀賞受賞 丸山 利さん作品    ギタリスト:川竹道夫氏により演奏
銅賞受賞 松井 宏夫さん作品  ギタリスト:堀内輝生氏により演奏


さて、第二部は審査員を務めた製作家の皆様の楽器が若手のギタリスト達により演奏されました。演奏者と演奏楽器は左のとおりです。皆さんの演奏についてここでコメントをすることは控えさせていただきますが、すでにコンクールで入賞実績がある方もいて、コンクール本選会ばりの熱演となり、お客様も大変喜びと、驚きをもって聴かれていたことをお伝えしたいと思います。皆さんのこれからのご活躍をお祈りしたいと思います。

そういえば4日の夜に皆さんを宿舎に迎えに行くのを私が忘れてしまいました。みなさん、ごめんなさいね!!!

【イベントを終了して】
総合的な感想として、3日間のイベントは無事終了をし好評をいただきましたが、事前の宿泊申し込みが110名を超え、宿泊先の公共の研修所であります洗心館が早い時期から許容量を超えてしまいました。宿泊所を分散化したことと多くの皆様の送迎が必要となり皆様には大変ご不自由をおかけしてしまいました。また、スケジュール上、プロ製作家の皆様の作品の音だしが十分に出来なかったこと、楽器の管理面が手薄になってしまった事などが反省として残りました。大きな事故が無く終了を出来ました事はご支援、ご協力をいただきました多くの皆様のおかげであると実行委員の一人としまして感謝をいたしましております。またいつかこのようなお手伝いをさせていただくことがあれば教訓としたいと考えております。皆様にはこの場をおかりしまして御礼を申し上げます。
実行委員 代表:木下明男(ギター文化館代表)、井内耕二、瀧川勝雄(徳島ギター協会)、松村雅亘(ギター製作家)、北口功(ギタリスト)、五十嵐弘一(クラシックギターとふれあう会) 以上6名


【ご案内】

製作展の内容を更にお知りになりたい場合はパンフレットが若干残っておりますので、ギター文化館でお求めいただけます。ギター文化館の紹介やギター文化館のマヌエル・カーノ・コレクションについて、また、今回出展楽器が全て掲載をされております。約50ページ(表紙カラー、本文一色)